父山のガンプラスタジオ

構造色をガンプラで再現できないか試してみた

みなさん、構造色というものをご存じでしょうか?

構造色とは、色素などでついた色ではなく、微細な構造によって見える色のことを指します。

CDの裏面やシャボン玉みたいに、色がない物質なのに色づいて見えるのが構造色です。

今回はその構造色をガンプラで再現できないかと思い、挑戦してみた結果を紹介します。

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改めて構造色とは?

構造色とは名前の通り、その構造によって発生する色のことです。

例えばシャボン玉の場合、シャボン玉の元となるシャボン液には色がついていません。
無色のシャボン液からシャボン玉を作っても、本来であればシャボン玉は色がついていないはずです。
ですが実際のシャボン玉は、青や黄色など様々な色がついているように見えます。

他にも、CDの裏面は色がついていなくても、角度によって青色などに変化して見えたりします。

このように、もともと物質が持つ色に起因するのではなく、光の反射や屈折によって色があるように見える現象です。

引用元:構造色 - Wikipedia

構造色は色素などを使っているわけではないので、経年劣化で色が出なくなったり変色したりすることがありません。
構造そのものが変わってしまうと色も変わりますが、紫外線で顔料が劣化して色落ちするというような心配はなくなります。

構造色の種類

一口に構造色と言っても、その原理はいくつか存在します。

薄膜による干渉

非常に薄い膜が色づいて見える現象です。
シャボン玉や水たまりに浮かぶ油などでよく見かけます。

色がついて見える原理は、薄い層の上下で反射した光が波長によって打ち消しあったりするからです。
例えば青色の光は打ち消し合わずにそのまま反射し、赤色や黄色などの光は打ち消しあった場合、
人間の目には青色の光だけが届くので青色に見えます。
シャボン玉は場所によって厚みが変わり、厚みによって打ち消しあう光の波長が変わります。
そのため全体が同じ色ではなく、場所によって違う色に見えます。

これをガンプラで再現するには、シャボン玉レベルの薄い膜で塗装をする必要がありそうです。
ですがシャボン玉の厚さはおよそ1μm(0.001mm)、対して一般的な塗装の膜は10~20μm(0.01~0.02mm)ほどのようです。
シャボン玉並みの厚さの塗膜を再現するのは難しそうですので、この原理による構造色の再現は見送ります。

多層膜による干渉

薄層は1層だけの膜で発生しますが、こちらは何層にも重なった構造によって発生します。
真珠や魚類はこの多層膜による干渉で、光の当たり方や角度などによって複雑な色を発します。

タマムシやカナブンといった甲虫類が持つ金属のような光沢も、多層膜によるものだそうです。

こちらはどれくらいの層の厚みで再現できるか不明ですが、もしかしたら塗装で再現できるかもしれません。

微細な溝や突起などによる干渉

CDやDVDの表面が虹色に見える現象も構造色です。
この色はディスクの表面に刻まれた非常に細かい凹凸が光の干渉を起こして発生しています。

クジャクの羽は非常に鮮やかな色をしていますが、これも羽毛が持つ細かい構造によって発生しているそうです。
ビスマスという金属も同じ原理で様々な色に見えます。

正確には分かりませんが、対応する微粒子が入った塗料があればこの仕組みを再現できそうです。
ですがそれはその塗料を使うかどうかという問題になるため、今回の挑戦対象からは外します。

微粒子などによる散乱

空が青かったり夕日が赤かったりするのも構造色によるものです。
波長の短い青色の光が大気中で散乱し、何もないはずの空が青く見えるようになっています。
夕日は逆に青色の光が散乱して地表まで届かなくなり、残った赤色の光が届くなるらしいです。

これもガンプラで再現するのは難しい気がします。

いざ実戦

構造色の種類を4つ紹介しましたが、その中で試せそうなのは「多層膜による干渉」だけでした。
ですので今回は多層膜を作ってどんな仕上がりになるかを試してみたいと思います。

パールホワイトの多層化

とりあえず目標として、参考とする構造色である真珠の色合いを再現できるか試してみたいと思います。
使用する塗料は水性ホビーカラーのホワイトパールです。
パールの塗料で真珠の色を再現できるかという実験ですね。

塗る対象として、ポリスチレンのスプーンを買ってきました。

業務スーパーで、50本入り198円(税別)で販売されていました。
Amazonでも販売されていますので、必要な本数と価格で探してみるのもいいかと思います。
ガンプラのパーツは大部分が「ポリスチレン(スチロール樹脂)」で作られていますので、
塗装の実験や練習で使う場合は、ポリスチレン製であることを確認するといいでしょう。

下地として、白いプラスチックスプーンに光沢のイエローとレッドを塗装しておきます。
この2色と塗装無しの白いスプーンに塗装をして試してみました。

試しに1回だけホワイトパールを塗ってみました。
薄めすぎたつもりはないのですが、1回塗るだけでは塗膜が薄すぎて、ホワイトパールの層が分からないですね。

ここからもう少しホワイトパール層を塗り重ねていくのですが、
ホワイトパール層が重なった時に分厚い1層になってしまうかも…と思い、
ホワイトパール層の間にクリアー塗装を挟むパターンでも実験してみました。

ホワイトパールを3層まで塗ってみました。
各写真、左からパール1層、パール3層、(パール+クリアー)3層、(パール+クリアー2層)3層の順です。
ただ塗るだけだと分厚い層になるだけだから多層化させるため間にクリアーを塗装してみましたが、
この時点では一切違いが見受けられませんでした。
本当は5層まで実験する予定でしたが、現時点で結果が変わらないような気がしたのでここで中断しました。

結果と反省点

今回は3層まで塗り重ねてみましたが一切変化がなく、これ以上塗り重ねてもただパール塗装が分厚くなるだけになりそうでした。
ホワイトパール層の重ね塗りは、あくまでも層が厚くなるだけで構造色を再現できそうには有りませんでした。

試してみた後の反省点としては、
 ・多層膜での構造色を再現したいのに、もともと色やラメが入っている塗料を使ってしまった
 ・多層膜干渉は薄層干渉の積み重ねなのに、1層あたりの厚みは(恐らく)薄膜としては厚すぎた
というところがすぐに挙がってきました。

次に挑戦する時には、薄い塗装ができるかどうかの挑戦になりそうです。
いつもよりもかなり薄めてから塗装をすることで、塗膜の厚さをさらに薄くすることができるかどうかですが、
薄い塗膜になると厚みの調整をするのが難しくなりそうです。

今回の実験としては見事に失敗でしたが、
この失敗も誰かが気になっている内容かもしれませんので、一応公開しておこうと思います。

  • この記事を書いた人

meshiyamaya

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